LEVI`S501大好き日記

LEVI`S501の魅力を伝えるブログ

66後期デットストックの特徴

 

ここでもう一度66後期デットストックの全体写真を掲載する。

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66後期デットストックの全体写真

それではなぜ、このジーンズが1979年5月に製造されたものだと判別できるのだろう。

 

LEVI`S501は1890年誕生以来、さまざまなディテール変更をして現在の501に進化した。

501のディテールを詳細に分析し、僅かな違いを発見し、年代を判別したエキスパート達が、上記写真のジーンズを「66後期」と呼んだ。

 

 

パッチ

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66後期のパッチ

パッチの左下に501とスタンプされている。

そのすぐ上の英文表記スタンプに注目しよう。

CARE INSTRUCTION INSIDE GARMENT

「衣服の内側にお手入れ方法が記されている」と訳すことができる。

この表記がスタンプされている期間は、約1970年~1985年くらいだとされている。

 

内側のタグ

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洗濯時の注意書きと製造年月

左の写真は、洗濯時の注意書きが記されている。

「染料が滲み出るので、単独で洗うこと」

「洗うと8%収縮します」

このような内容が書かれている。

 

そして右側の写真だが、501という数字の下の「5 9 6」に注目しよう。

この数字こそが、製造年月を表している。

  • 「5」は月を表している
  • 「9」は製造年の一の位を表している
  • 「6」は工場番号を表している

パッチのスタンプ「CARE INSTRUCTION INSIDE GARMENT」の表記は約1970年~1985年だった。

そのことから、このジーンズは6番工場で1979年5月に製造されたものと推測できる。

 

トップボタン裏の刻印

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トップボタン裏の刻印

逆さまだが、「6」の刻印だ。

トップボタン裏の刻印は、工場番号が記されている。

先ほどの「5 9 6」の6番工場とも一致している。

 

 

ところで、80年代に入ると66後期と呼ばれるジーンズから、ただの「赤耳」と呼ばれるジーンズに区別されるようになる。見た目も変わらない。上記の特徴もほとんど同じだ。

ではエキスパート達は、どこで区別したのだろうか。

それは、内側の洗濯時の注意書きタグの収縮率が8%→10%に変更されていることで、「赤耳」のジーンズとしたのだ。

 

では、穿き込んでいくと、文字も薄れて解読不可能になってしまう。こうなると、66後期と赤耳の区別がつかず、年代判別も出来なくなってしまうのか。

 

このような時に、トップボタン裏の刻印に注目しよう。

なぜなら、赤耳と呼ばれるジーンズの時代になると、トップボタン裏の刻印の数字が三桁になるからだ。

工場番号を示していることに変わりはないが、「524」とか「555」といった刻印になる。

 

そのようなワケで、トップボタン裏の刻印「6」は、66後期と赤耳を区別する際は、大きなポイントになると個人的には考えている。

 

赤タブ

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66後期赤タブ

1973年くらいから、「LEVI`S 」のロゴが「LeVI'S」に変わる。

「E」の文字が「e」に変更になった時期だ。

エキスパート達は、この移行期のジーンズを「ビックE」「スモールe」と区別した。

そして、赤タブがスモールeになった最初のジーンズを66前期と呼んだ。

 

バックポケット裏の縫製

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66後期バックポケットチェーンステッチ

 先ほど、「赤耳ジーンズ」と「66後期」の僅かな違いでネーミングが変わることを説明した。

それでは、エキスパート達は66前期と66後期をどうして区別したのだろうか。

赤耳ジーンズとは違い、収縮率も同じ8%、トップボタン裏の刻印も同じ6の数字だ。

 

バックポケット裏の写真を見ていただきたい。

この縫い方に違いがあるのだ。平行に縫われている部分が「シングルステッチ」ならば66前期、写真のように「チェーンステッチ」ならば66後期と判別されたのだ。

 

以上、主な特徴から、エキスパート達は約1973年~1976年を「66前期」、約1977年~1980年を「66後期」とネーミングした。

 

なぜ66(ロクロク)なのか

 

ここで、不思議に思うことがある。

66と聞くと、1966年のジーンズだと思うのではないだろうか。

しかし、上記のような特徴から、66といわれているジーンズは1970年代のジーンズであることがわかる。

なぜ、66とネーミングしたのか。

この疑問は未だに解明されていない。

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66後期のフラッシャーとギャランティーチケット

諸説あるが、一説には、新品時のジーンズのバックポケットに付いている「フラッシャー」や「ギャランティーチケット」といわれる紙に「コピーライト1966」の文字が確認できることから、66といわれている。

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66後期のフラッシャー

ギャランティーチケットにもコピーライト1966の文字が確認できる。

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66後期のギャランティーチケット

 

まとめ

 

個人的には、フラッシャーやギャランティーチケットはデットストックの状態で取り付けられていた場合にのみ証明されるものだと思っている。さらに、66といわれているモデル以外にも、コピーライト1966のフラッシャーやギャランティーチケットは存在しているのだ。

古着を見て年代判別をする場合、

  • CARE INSTRUCTION INSIDE GARMENTのスタンプ
  • 洗濯表示タグの収縮率が8%
  • トップボタン裏の刻印が6
  • 赤タブがスモールe

このぐらいの情報がわかれば、66のジーンズだと判別できるのではないかと考える。

66のネーミングの謎は深く追求することはしない。

 

なによりも、僅かな違いを発見し、年代を判別する術とネーミングを考案してくれたエキスパート達に感謝の気持ちでいっぱいである。

ありがとうございます。